「僕が死のうと思ったのは ウミネコが桟橋で鳴いたから」
「僕が死のうと思ったのは 誕生日に杏の花が咲いたから」
「僕が死のうと思ったのは 靴紐が解けたから」
『僕が死のうと思ったのは』中島美嘉/作詞 秋田ひろむ
先日音楽番組でで中島美嘉がゲストに来ていて、その中で紹介された曲。 ちょっとしたこと、ほんの小さなこと、ダメージにもならないようなことが、最後の一滴になる気持ち。 これは私にはすごく刺さる。そしてもしかしたら皆に刺さるのかもしれない。
水城せとな『彼女達のエクス・デイ 』にも同じような表現があった。 それぞれ生きづらさを抱える4人が、高校の爆破をもくろんで花火を買い集める話。 それまでは頑張って生きようと言っていたのにある日、メンバーの一人が屋上から飛び降りようとする。 訴えられる理由はどれも小さくて理解を得られそうにもない。 でも相対した主人公はこう感じる。
「そんな小さな事がどうしようもなく心を傷つけることを私は知ってる」
物事の大きさではなくて、自分の心の在り方で。 いっぱいだったコップに最後の一滴を落とすように。
昼ご飯を買いに行ったスーパーで、若いお父さんと小さな女の子を見た。 綺麗な顔のお父さんと、可愛い可愛い女の子。 それだけだったのに、なぜかひどく苦しくなった。
駐車場の空きが見つからなくてもう一度最初から回ったのに、後から来た車が進路を逆走して空きを横取りした。 やっと見つけたスペースにバックで車を入れている時、後ろから来た女性が横をすり抜けた。 スーパーの鏡に映る自分が、とても老いて見えた。 商品の場所がわからなくて、でも忙しそうな店員さんに声をかけるのが憚られて諦めたら、別のお客さんが店員さんを呼び止めて質問していた。
たったそれだけだったのに。
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